それが起こったのは平和的な普段の週末であった。発端といえば、この前ちょうどロコンがうちに来る寸前の(一応は)告白事件がきっかけとなったと思わされたりもする。けど、もっと直接的なきっかけは一昨日の夕方のあの事件だった。 それはウィンディの一言で起こってしまった争い。それは… 俺の部屋 ウィンディ:主、こんな時間まで起きていると明日寝ぼけてしまうんです。 俺:わかってる。もうすぐ寝る。 ウィンディ:あの…主、今日は不機嫌でございましたようでしょうが何か気味悪いことでもなされたんですか 俺:いや…別にそんなわけじゃないけど… ウィンディ:なら、またお悩みですか。さすが、青春ってやつですよねー 俺:な…何を馬鹿言うんだ!俺はただ…ただ戸惑ってるというか、確信を持たないというか… ウィンディ:世間ではそれをお悩みだと称するんです。で、そのお悩みって何でしょうか。主さえよけりゃ私がその悩みに乗って上げますから。 俺:じゃ…じゃあよく聞いてウィンディ。絶対秘密だから!わかったな、ウィンディ! ウィンディ:はい、かしこまります。 一方では 廊下 ハクリュー:(うん、できる。絶対できる。勇気を出して僕!これまでもやってこられたもん!きっと今日もできる!) ぼ…僕、別にやましいことしようとしてるんじゃ…ないんだからねー!こ…これはレッドの身の安全のために確かめるだけなんだから! 僕は今レッドの部屋の前でウロウロとしていてとにかく落ち着いては居ない。 こ…これから寝てるレッドの部屋に入って番をしようとしてるだけなんだけど!ぜ…絶対怪しいことしないんだから!ぜっっっったいに!! 萌えもんが主人の番をするのはごく自然なことだもん! だ…だけどや…やっぱり緊張してきたよ。これ、アブちゃんにバレたら大起こりするかもしれないんだよぉ~。 だ…大丈夫いっつも僕が一番早く起きるんだから(実はウィねーさんが一番だけどそれは早すぎなんだから)、みんな起きる前に戻ってりゃオッケーだよ!も…もちろんやらしいとか絶対ありえないけど! ハクリュー:(じゃあ、失礼するよ、レッド。) ガチャリー ハクリュー:え、開いて…る?! 俺:最近、誰かが俺の部屋に入ってくるみたい…ってハクリュー?! ハクリュー:…!! だぁー 俺:あっ、逃げるな、ハクリュー! ウィンディ:なるほど、それはハクリューだったようですねー 俺:ようですねーじゃねー!これどういう状況?! ウィンディ:多分、それに気づいてないのは主だけだと思っています。 俺:何それ、ますます意味がわかんなくなったよ。 ウィンディ:まだまだ子供ですね、主は。 一方、リビングでは… ハクリュー:なんで?なんでウィねーさんが?!まさかレッドは… ガチャリー アブソル:んなんだよぉーハク。今何時かわかってる?っと、何かあった?なにブツブツつぶやいてんの? ハクリュー:アブちゃん、しくしく。アブちゃああーん。 アブソル:え、何?なんで泣くの?まさか、レッドの野郎がなんか言った? サンド:うるさい… ロコン:ムニュムニュ…何ですか…ってハクリューさんが泣いてる?! アブソル:ああ、お前たち、ちょうどいいタイミング!今、レッドのヤローに一発食らわせてこようとしてるんだけど手伝ってくれー! ロコン:え、え、何なの?ハクリューさん泣かせたのレッドなの?そうなの? アブソル:どう考えても奴しかねー。早く追ってけー ハクリュー:いやー、レッドは何もしてなかったもん。悪いの僕だもん!アブちゃん、ごめんー本当にごめんー! アブソル:え、それなんぼ意味?イマイチわけが…あ、まさか… ロコン:なになに、何なの一体? サンド:三つ巴の戦い… ロコン:え、サンドさんが難しい言葉言った?!意味わからないよー これが一昨日の事件の始終だ。 それからハクリューとアブソルの間にはどことなくぎこちなさが見えたし、気のせいかサンドが俺を苛むような目で睨んだりしてる気がしてた。当然、わけをわからないままの俺はただそわそわしまくりで一日を送った。 そして今日、事件はそうやって知らず知らずのうちに訪れたのだった。 リビング 俺:あの、ロコンちゃん? ロコン:え、あたし?何なの、お兄ちゃん。 俺:いや、なんとなく、さ。その…ハクリューとアブソルのことだけど… ロコン:あ…やっぱそれなのね。予想はしてたよ。 俺:俺ってさ、どうすればいいんだよー困りきってるんだけど。 ロコン:そう……あ、お兄ちゃんちょっと待って! 俺:あ、じゃ俺の部屋で待ってるよそっちのほうが話しやすいし。 ロコン:うん、分かった。じゃあちょっと待っててねー。 数分後 俺の部屋 俺:んじゃー話してくれ、何とってきたんだ? ロコン:あ、大したものじゃないけど、ジャジャンー!見てみて! 俺:ん、何これ、便箋じゃない? ロコン:うん、そうそう。あたし何か友達の間に疎通ができなくなったりしたらよく使ってた。もちろん、文字書けないけどねーさまが…代筆してくれた。あ、優しい文字だったよーすっごくねー。 俺:そっか、手紙か!手紙で何かあったか聞いてみりゃ分かるんだ。本当助かるよロコン、サンキュー! ロコン:え、え、あたし別にレッドが助かるような事やったんじゃ…(テレテレ) 俺:いや、すっごく助かった、じゃ、もらっとく…… 一方 萌えもんたちの部屋 アブソル:あの、ハク。起こってないってば、期限直してよー ハクリュー:……ほんとー? サンド:ほんとー アブソル:さ、さあ、みて。サンドちゃんもホントって言ってるじゃん。だから、もう期限直して。 ハクリュー:で…でももしかしてこれでレッドがもう僕なんか振り返ってくれないかもしれない。そう思うとどうしようもなく不安で気が気でないんだよぉーどうしよどうしよーアブちゃん助けてー アブソル:はぁ、しょうがねーやつだな。さぁ、起きろ。そしてレッドにあってちゃんと伝えるんだ!この前もちゃんとやってたじゃねーか。大丈夫。あたしも絶対譲る気はねーけど、ハクがこうやってるとその、あたしも落ち込んじゃうから、ね? ハクリュー:うん。ありがとーアブちゃん。本当にありがとー アブソル:ストップ!それ以上ありがとー言ったら本当に怒るからねーじゃあ、行こ。 がたがた アブソル:(あたしって甘いねーほんっと) そして二人はドアを開けた。そして… …………………… ……………… …… 二人の少女はそのまま部屋に突っ込んできたのだった。 ドカーーーン! 俺:何?!何が起こってやがるんだ?! ロコン:え、何、あたし?! ハクリュー:ドラゴンダイブーーーー!! アブソル:特大カマイタチーーー!! ロコン:え、え、えええええええええ?! だーーーーーっ ドカーーーーーーーーーン!!! ガタガタガラガラ そして 廃墟化された俺の部屋 ……… ……… ………ふぁっ 俺:ごほんごほん。な…何が起こったんだ。 ロコン:お…お兄ちゃん?重いよー。降りてくれる? 俺:えっ?!すすすすすまん!わざとじゃない! ロコン:ひゃぅっ…!押さないで、そこ胸…! 俺:ええええええええっ?!?!抜けない?!この石のせいで固定されちゃった!助けて!! ハク&アブ:タスケテ…アゲヨーカ… 俺:ヒィィィーななんだお前らこえーんだよ。ななにが。問題かはわからないけど一旦落ち着いて… ハク&アブ:問答無用!!! ロコン:ひゃぁぁぁぁーー ウィンディ:何やってるんですか、二人共。 二人の攻撃はどこからとも無く現れたウィンディによって遮られた。そしてようやく我に返れた二人。 ハクリュー:え、ええっ、僕なにやった?!ええっなにこれ、僕がやったの?わあっごめんレッド! アブソル:そ…それより、あれは何だったんだ!あの…あの…その…あれ…ラララララララブレターは?! ハクリュー:そ…そう。あれは何だったんだよ?まさかロコンちゃん…ずるいよぉー 当然、唖然となる僕とロコン。 ロコン:えっと、えっとね、あれってラブレターとかそういうんじゃなくただの便箋だったの。レッドお兄ちゃんが二人に書いてあげようとしてたの。だからね、だからね、その…はうぅぅっ…! ロコンは混乱した! ハク&アブ:えっ、レッドが僕(あたし)に手紙を……あうっ! ハク&アブは気絶した! レッドは目の前が真っ暗になった! じゃなく 俺:え…と、これどういう状況だと思う? ウィンディ:絶対的に主が悪いですね。自重してください。 俺:なんかわかんないけど一応謝っておくべきでしょう。で、それはさておき、この石どけてくれないか?その…あたってるんだから…… ウィンディ:はい、ロコンのためにもどけて上げます。 ぽん! 俺:おお抜けた!ったく、とにかく片付けないとまずそうだな…3人もまともじゃなさそうし手伝ってくれ、ウィンディ。 ウィンディ:はい、3人のためにも手伝って上げます。 俺:あの…ウィンディ、もしかして怒ってる? ウィンディ:あらあら、そう見えては見えているようですね。 俺:おいおい、なんか今サーナイトが頭の中に浮かんできてゾッとしたよ。で、俺なんか悪いことでもしちまったのか? ウィンディ:悪い子にはお仕置きを与えてあげるんですからそこらでお待ちなさってくださいー。 俺:こえーよ、こえーんだっつーの!一体何なんだよみんな! ズタズタのリビング 俺:……で、それをラブレターと間違って襲ってきたってこと? ハク&アブ:(ゴクリ) ロコン:あは…あははっ(汗) 三人が我に返った後俺は事件の始終を聞かせてもらった。 つまり、二人共俺がロコンから便箋をとってるところを見てそれをラブレターだと間違えたってこと。 俺:どうしてそれをラブレターかと思ったの。そ…そのまだ突拍子すぎるじゃん! ロコン:ええっと、そ…そうだよ。私たちはそ…そういう関係じゃ…あ。 ………………………………… 長い長い沈黙が流れる。 その沈黙を割ったのは意外とハクリューだった。 ハクリュー:あの…レッド?この前僕が言ってたの覚えてる? アブソル:おまっ!なにを?! 俺:この前って…あ。えっと、そ…それってもしかして… アブソル:わぁぁーーーーっ!!!腹減ったなぁぁぁぁぁーーっ!!!! ロコン:えっと、何のこと? ハクリュー:ううん、やっぱもう我慢できないよ。アブちゃん、ごめんね。僕、レッドから確かな答えが聞きたいの。レッドは… 一体誰を愛しているの? (ドクン!) 俺:………! 身体中に電気が走った。 そう、もしかしたら僕はあの日から今この瞬間を待ち構えてたかもしれない。 俺は選択をやらないといけない。これは俺の責任であるはずだ。 今、目の前に期待を帯びている三人の少女を失望させる訳にはいかない。 俺は… to be continued